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エコな国(エコロジー・クリーンエネルギー/視察)
世界のエネルギー需要は、急速に高まり、2020年には、全体のエネルギー消費量が1997年当時と比べて57%増加すると言われています。勿論、これらエネルギーの増加は、気候の温暖化をもたらし、生態系を崩すだけでなく、海面が上昇し、海に沈んで行く島も出るほどです。
アイスランドでも、勿論温暖化の影響がでています。5つある氷河が毎年後退したり、アイスランド近海に住んでいた魚が減り、その魚を餌にしていた鳥が減少したり、CO2の排出量が少ないアイスランドでさえ、温暖化の影響がでています。
しかし、アイスランドは、早くから国を挙げてCO2対策に乗り出し、アイスランドは、一次エネルギー総供給量の77.4パーセント(2006年)を地熱と水力を主体とする再生可能エネルギーで賄うようになりました。残りの約22パーセントは、いわゆる船舶や、自動車で、現在は輸入石油に頼らざる負えない状況にあります。
アイスランドでは1969年に地熱の研究を始めました。始めに2本の井戸を掘る事に決定し、一方が240メートルで、もう一方の井戸が430メートルの井戸を掘りました。その結果、
1.1000メートルほると、200度の熱が得られる。
2.地下の地熱貯蔵池は、海水の3分の2の濃度の塩水から出来ていることが判ったのです。
アイスランド政府は、1713メートルと1519メートルの井戸を掘る事を決定し、それ以降に14本の井戸が掘られました。現在は、7本の井戸が稼働中です。元来は、湧き出た熱湯を暖房の設備として活用しようと考えていましたが、ケフラヴィークエイリアでは、出てきた熱水が塩水だったので、発電も考えるようになりました。地熱発電は今では、水力発電に次ぐ供給量になったのです。
アイスランド政府は、1998年に「2050年までに全ての化石燃料を、水の電気分解で得る水素エネルギーに切り替えて、国内で発生する温室効果ガスをゼロにし、世界規模での気候変動対策に貢献する」事を宣言し、化石燃料に変わるクリーンエネルギーとして、水素エネルギーの開発に力を入れ始めました。氷河が国土の11パーセントを占めるアイスランドでは、温暖化に関心を持つのも当然と言えるかもしれません。
1999年に水素エネルギープロジェクトとして、アイスランド大学の研究部門が独立し、アイスランド新エネルギー(INE:Incelandic New Energy)社が設立されました。51パーセントをアイスランドの共同出資体VistOrkaが出資し、残りの16パーセントずつをダイムラー・クライスラー社と、Shell Hydrogen社、Norsk Hydro Electrolysers社の3社が出資して作られました。ここで特筆すべき事は、政府の出資割高はほんの1%に過ぎないという事です。これは、INEが政府の関与を望まなかったからと言われています。この会社のプロジェクトは、一般レベルで水素エネルギーを活用して行く実験を推進して行く事でした。
INEのマネージャー、マリア・ヒルドウル・マックは、言います。「アイスランドは人口が少なく、しかも先進国であるという点で、このような環境にやさしいエネルギー利用の実験的なプロジェクトを進めて行くのに非常に適した国です。私達は、様々な実験プロジェクトを通して、環境汚染の少ない輸送、交通環境を実現する事を目指しています。」
そしてINEでは水素を燃料として利用する実証試験の第一プロジェクトとして、水素燃料バスを2001年3月から2005年の秋まで3台試験運行をさせました。このプロジェクトをECTOS(Ecological City Transport System)と言います。
1.バス燃料としての水素の信頼性・有効性の確認
2.コスト効率と水素導入プロセスの研究
3.水素ステーションと水素製造サイトの選択及び安全対策の確認等を実施しました。
このプロジェクトは、HyFLEET:CUTEと言う新しいプロジェクトに引き継がれ、水素バスは2007年1月まで運行されました。
この実験に掛かった総コストは、1,000万USDにのぼりますが、勿論、実験で得られた情報を積極的に公開し、一般セミナーも定期的に開いています。この実験で、水素バスは350気圧で30kgの水素を積み、250kwの燃料電池を動力として150~200Kmの距離を走行し、その運行期間中、230トンのCO2を削減したと計算されています。
アイスランドが水素利用に向けて取り組みが行われているのには、いくつか理由があります。
1.豊富な水力と地熱によって、国内の再生可能エネルギーシステムとうまく、適合していること。
2.国民の高い意識。
3.小国であるが故に少ない実験で大きな成果があげられる。
4.政府がクリーンエネルギー利用を目指している。
5.アイスランドの気候。
6.外国資本の積極的な受け入れ。
アイスランドは、燃料電池バスや、自動車の車体等もアイスランド産ではなく、外国メーカーのものであって、こうした資本や先進技術を積極的に受け入れて、小さな国土であることを武器に、システム構築や他の様々なノウハウを蓄積する事で、その実験で得られたデータや情報を自国の強みとして、積極的に実験を行って行くのです。
第二のプロジェクトは、SMART-H2(Sustainable Marine and Transport, Hydrogen in Iceland)プロジェクトです。この研究は、レイキャヴィーク市内の複数個所に水素充填所を設置し、燃料電池車に改造されたメルセデスベンツ1台とトヨタ・プリウス10台をアイスランドで走らせます。このうちの3台は、レンタカー会社、Hertzで利用されています。INEは、提供を受けた車両を、一般の会社にリースし、その代わりに様々なデータを収集することになっています。
次は、船舶、特に漁船の燃料電池化であり、現在、エルディグ社のホエール・ウオッチング船に燃料電池を踏査した試験が行われています。排水量125トン、150人乗りのクルーザーで、メインエンジンの燃料は未だ石油ですが、船舶ナビゲーションシステムや証明、電気系統に燃料電池が使われています。
ホエールウオッチング船としても、燃料電池は非常に静かなので、鯨などの海洋生物の近くまで近づくことができ、動物の息使いや様々な音を楽しむ事ができます。
このように、INEは、アイスランドが掲げた「2050年CO2排出量0」と言う目標に向って、様々なデータや、情報を収集し、今後の政府の施策に大いに役立つことは言うまでもありません。そして、この小さな国アイスランドと日本を単純に比較する事はできませんが、日本では、考えもつかない、CO2を0にするという考えを、実際に実行してみようという姿勢には、我々日本人も学ぶ所が多いのではないでしょうか。そして、日本の各地方自治体がそれぞれの工夫によって、クリーンエネルギーを利用する取組みにもっともっと力を入れてもらいたいと思います。
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